<ビーコン操作の応用>


◆ビーコン操作の応用
 ビーコンの電波に乗れるようになれば、後は慣れることで力を上げる。 慣れるに従って、電波の理解も進むから、今度は頭のなかで、ビーコンの位置や角度を推定するようになる。 この段階から、ビーコンを上下にゆっくり振る動作を教えて良い。この実技を行なうには、 凹状の下り斜面を探して、ビーコンを上下に降ったときの受信感度の違いを体得させる。 樹木があれば、枝に結んでみる。今度は上向きの経験が出来る。 ビーコンを下に振るのは、水平に左右に振る動作とともに、埋まっている位置が常に下向きであることを伝えている。

◆ビーコン操作の応用 2
 埋没した者が複数であるとき、当然に信号は二つ以上出ている。信号が完全重なった場合には、 その区別はつかない。が、ビーコン捜索を開始して、移動して行くと、横位置でのビーコンの信号より、 狭い方向で信号を感知すると、二つのビーコンかなと気付くかもしれない。 公園でも空き地でも、一つのビーコンを探せるようになったら、 二つのビーコンを隠して探す練習をするといい。 信号が重ならないときは、ピー、ピィと連続信号を感知するから、二つ以上と分かる。

◆ビーコン外し方の間違い
最近、捜索に入ると完全にビーコンを体から離して、手に持ってしまう生徒がいる。 また、埋没者を発見し、収容する段階で、ビーコンを雪の上に置いたまま、搬送に入る生徒もいる。 これでは捜索後に雪崩に襲われたりした場合の備えを欠くし、 雪の上に置いたビーコンを忘れたと気付くのはかなり後になるだろう。 これについては初めに触れたとおりである。

◆ビーコン操作の応用 3
 ビーコンを使った埋没者の発見は時間との勝負になる。従って、ビーコンの取り扱いに慣れた段階から、 50mの範囲で、1mの深さにビーコンを埋めて、発見から掘出しまでを体験させる。 行動開始から発見までに要する時間を5分、発見から掘出し、呼吸空間の確保まで10分以内として、 15分以内に完了するかどうか試してみる。

◆ビーコン操作の応用 4
 上記3の訓練ができたら、捜索現場に3人、ないしは4人の組織的な行動を試してみよ。 これには、全体を見、指揮を取る人間が必要となり、机上での学習と実技を組合せて行なうことになる。

 ビーコンの操作の仕方は、デジタル式ビーコン(完全なデジタルビーコンとは言えない)の登場とともに、 従来のアナログ式ビーコンとは違った、簡易な方法で埋没者を見つけることが出来るようになった。 こうしたビーコンの性能のアップや改善、実際の捜索体験などの積み重ねからいくつもの前進が生まれた。 道具は使うことで慣れる。が、これから練習する人はこれまでの成果を学んで要点を飲み込むことで 短時間で一定のレベルに到達する。
 経験のある者は、自分の知識や技術をたくさん伝えようとするあまり、 慣れない者には混乱を与えることが多い。 だから、習熟する度合いや、慣れに応じた適切な指導が望まれる。

 デジタル式ビーコンは、方位を特定する信号(LED)が点灯するため、 左右に振らずに埋没者の信号を受けとるため、アナログ式ビーコンのように信号を見失うことがなくなった。

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